『刀』の不思議
昨日は僕が「童子切」が大好き(アレ?)だという話をしたと思いますが、今回はその失われた技術の一つ『鋼』について書いていきます。
鋼は鉄の炭素の含有量によってそう呼ばれるようになるのですが、大体0.5%〜1.7%炭素を含んでいる鉄の事をさします。
また、炭素量が多い方が硬い鋼となるんですね。
実際ダイアモンドは炭素の固まりなので、それを少し頭にイメージしておいて下さいね。
ところで、日本刀にふさわしい鋼の炭素の含有量は幾つだと思いますか?
刀なのだから硬い方が良いという事は1.7%に近い鋼かな?
答えはその逆です。
日本刀で使用する鋼は柔らかく粘りのある鋼の方が良いのですね。
これは、人の肉体で考えるとイメージしやすいかもしれません。
一人は、前屈しても全然曲がらず、柔軟性の無い重たい筋肉の人
一人は、体が柔らかく柔軟性が抜群でフットワークの軽い人
どちらがスポーツできそうかな?
僕は後者だと思います。いや信じたい(笑)
(僕のイメージではスポーツ出来る人間が体硬いって想像できないので。。。)
とそんな感じですり替えてイメージしてみると、少しわかりますかね。
硬いものってモノにあたると衝撃をもろに受けてしまうんですね。
でも柔軟なものって衝撃が拡散するんですよ。
その上で粘っこくインパクトは極小。
これだけ条件が揃っていればさっきの人と例えより分かりやすいかな?
でも、よくよく考えればなるほどって思えるところは多いんですよね。
確かに硬いものの方が強固で丈夫なんだと思います。
でも固まっているだけで衝撃を逃がす事が出来なければ刀身にそのダメージが蓄積してしまうんですね。
そんなんで何度も斬っていたらやがてその部分は砕けてしまってもおかしくないと思います。
ところが、自然と衝撃を逃がせるような柔軟性をもっていれば、衝撃を抱え込まず刀身のダメージも最小限にする事が出来るのですね。
すごいですね。
先人が工夫に工夫を凝らして作ったものは、斬る為に非常に合理的に作られている事に驚きです。
そして、ここからが僕の思考方なのですが、この衝撃=ストレス、刀身=自身にかえて読み替えると。。。
「でも、固まっているだけでストレスを逃がす事が出来なければ自身にそのダメージが蓄積してしまうんですね。」
「自然と衝撃を逃がせるような柔軟性をもっていれば、ストレスを抱え込まず自身のダメージも最小限にする事が出来るのですね。」
といった読み替えが出来ます。
これはこじつけと言ってしまえば簡単ですが、この何でもロジックを切り替えてモノを観る事、そして学びの真骨頂ってこういった小さな事なのでは無いかなと思います。
刀の不思議はまだまだあります。
古刀を観ると、そこに僕は自然の全てを感じてしまうくらい魅力的です。
そういったものに接していきながら、僕自身学べる事は貪欲に取り入れていきたいなと感じています。
今回はここまでです。
最後まで読んで頂いてありがとうございました。